医療情報技師の記録

システム管理者として働く病院職員の記録です。

原因不明の認証エラーと対応

2022年3月16日に地震がありました。福島市では震度5強でしたが、当院では幸いプリンター2台とディスプレイ3台ほどの被害にとどまり、大きな問題はなかったかに思えました。

しかし翌日、院内が一瞬暗くなる、いわゆる「瞬電」が起こり、そこから原因不明の認証エラーが発生し、いまだに解決していないのです。

エラーが出ているのは、バイタル測定した結果を電子カルテへ自動で飛ばす部門システムなのですが、測定時に患者様のリストバンドと看護師のバーコードを読み込む際に、認証エラーが出るのです。しかし、起きるのは3時間ごと、エラーが起きた端末は、再起動すると認証され使用可能になる。しかし、3時間後にまた認証エラーが起きる、という状況です。

当然、部門システムベンダーと電子カルテシステムベンダーには連絡し、確認してもらったのですが、システムには問題なく、3時間ごとになにかタスクが走ってるわけでもないとのこと。次に、ネットワーク機器(L3とL2)の再起動を計画。

と、エラーの話を書いてきましたが、今回お伝えしたかったのは、その対応についてです。サーバーの再起動やネットワーク機器の再起動を行う場合、当院では緊急時以外は一週間以上前に、院内へ告知します。なるべく影響が少ない日時を選びますので、ほぼ土曜日の午後に計画します。そして、グループウェアと紙媒体等で周知します。しかし、当日は救急患者受け入れや予定外の事象が発生するなど、計画通りにはいきません。今回のネットワーク機器の再起動では、土曜日の14:00~15:00で計画しましたが、結局1時間遅れて再起動し、それで解決しませんでした。
(2022年4月17日現在、いまだに解決せず、病棟看護師には都度再起動で対応してもらっています)

原因不明のエラーの場合、あらゆる可能性をつぶしていき、少しづつでも原因に近づけるよう、気の遠くなる作業をしなければならないことも多々あります。

病院システム管理者は、根気も必要ということですね。

ネットワークの管理

以前も書きましたが、システム管理者として重要な業務として、ネットワークの管理業務があります。

先日、ネットワークに関してこんな事象がありましたのでご紹介します。

きっかけは落雷でした。当院のある場所には高い建物がないため、近くで雷が鳴ると病院の避雷針に落雷することがあります。そこで過電流が流れて、機器が壊れることがよくありました。そこで、重要な箇所にはUPSや雷サージ付きの電源タップを使用しておりました。

今回、また落雷があり、医局にあるUPSが壊れただけで済んだと安心していたさなか、大変なことが・・・

電子カルテ用のネットワークで、ループが発生。しかし、その症状が発生したりしなかったりで、どうも普通のループとは違う感じが。。。ネットワークにアクセスできなくなる端末がランダムに発生し、そのエラーが「アドレスの重複」しかしそのIPアドレスが毎回違うため、さらにしらべたところ、IPアドレスではなくMACアドレスであることが判明。ただ、MACアドレスが重複することは基本的に考えられないため、これはL3メインスイッチかL2スイッチの不具合を疑って、片っ端から再起動する計画を立てました。今日は徹夜かな。。。と思っていたさなか、原因が判明。

原因はWB機能の付いた無線ルーターでした。

当然、DHCP機能はオフにして、アクセスポイントモードで使用していました。
しかし本体外部にあるモード切り替えスイッチが「WB」モードになっていました。
(「WB」モードとは「中継器」になるモード。中継器モードを有線につないだ状態で使用すると、有線側と無線側が双方向でつながってしまいます)ハブで言えば完全ループ状態になります。
これで多少なりとも運用できていたのは、無線側で拾っていた通信がわずかだったため。わずかに拾ったときだけループ状態になり、拾えていない場合は問題なかった感じでした。
やはり、ルーターには気を付けないといけないですね。

MS Office その①

病院システム管理者として、Microsoft Officeのスキルは必要でしょうか?

答えは「当院では”応”」です。当院で稼働している電子カルテの帳票はExcelベースで編集が可能であり、その面ではExcelのスキルは必要です。

しかし、ここでは「一般事務」としての視点でOfficeのスキルを考えてみます。

一般的なビジネス業界では、パソコンスキル=MS Officeのスキルという公式が成り立ちます。

当然、医療業界でも例外ではなく、システム管理者=パソコンができる=MS Officeができると思われます。よって、Accessは除いたとしても、Word・ExcelPowerPointの使い方は必ず聞かれます。Office関係の業務は、なるべくなら自部署で完結していただきたいところですが、中々そうもいかないのが現状です。

そこで、今回は「MS Office その①」として、Wordを取り上げてみました。

 

Excelはいいけど、Wordは苦手なんだよね」という人多くありませんか?
その理由ですが、
・文字が揃わない ・勝手に番号や記号が付く ・画像を入れたら全体がずれた という意見が多いです。総合すると「Wordは、レイアウトを揃えるのが難しいから嫌い」ということになります。

そこで、Wordが苦手な人に私がレクチャーしている内容はこちら。

「作成する順番を変えてみて下さい。そして、この3つの書式設定を憶えて下さい。」

これだけです。では詳しくいきます。

まず、「作成する順番を変える」というのは、
通常、多くの人がWordで文書を作る場合、①文字を入力する→②単語、または段落に書式を設定する→③次の段落へ→繰り返す という作り方をされてると思います。

その順番を、①文書で使用する文字だけをまず入力する→②後から書式を設定する に変えます。要するに、レイアウトを考えながら文字を入力するのではなく、必要な文字を先に入力した後に、レイアウトを整えるようにするとWordはやり易いのです。(ちなみに、①の文字のみ入力には、「下書きモード」を使用するとさらに効率が上がります)

次に、「適切な書式を設定する」ですが、①スペースキーや改行で飛ばさない ②インデント・タブを使用する ③文字の折り返しを憶える の3つを憶えてもらいます。

長くなるので、簡潔にいきます。①は「スペースキーは使わずタブキーを使う」「次のページに行くときは、Enterキー連打ではなく、Ctrlキー+Enterキーで」②は、文字の頭をそろえるには、インデントやタブの機能を使う。そのためには、ルーラーを表示しておく。③文書に画像を入れる場合「文字の折り返し」を設定する。たくさんある中で、「行内」「前面」「背面」の3つ憶えればOK。

これが私が行っている「Wordの苦手意識がちょっと解消できるかもメソッドです」(笑)

文頭で「病院のシステム管理者に、Officeのスキルは必要か?」と書きましたが、Officeのスキル+Officeを使うスタッフのスキルをアップさせるスキルも必要かと思います。

 

 

再開(再会)

お久しぶりです。数年ぶりの更新となります。

最後に更新してから色々ありまして、更新をしておりませんでしたが、今回、ひょんなことから再開することとしました。

以前も書きましたが、私の所属する病院は福島県の北部にあります。その北部にある複数の医療機関のシステム担当者が集まり、福島県北医療情報システム担当者会というコミュニティを作っています。(この会については別途、書きたいと思います)

その会の中で、このブログを紹介させていただいたところ、思いのほか評判がよろしく(笑)再開してみようかな。。。と。

このブログが、これから医療情報システム担当者を目指す皆様へ、多少なりともお役に立てれば幸いです。

保守業務

 我々システム管理部門が行っている保守業務は、大きく分けて3つあります。

1.毎日行う簡易チェック

2.月1回行う定期メンテナンス

3.必要時に行う臨時メンテナンス

です。

1.の毎日行う簡易チェックは、毎朝出勤後に必ず行っております。サーバー室に設置してある各サーバーのインジケーターランプの確認、及びネットワーク監視ソフトの確認、ルータやUPSNASの確認を行います。アンチウィルスソフトのパターンファイルの最新版があれば、院内への配信(オフラインの為、手動でダウンロード→配信サーバーへの配置)を行い、全てチェック表に記入しております。

2.の月1回行う定期メンテナンスは、医事会計・オーダリングシステムを除く、事務用サーバーや各部門システムの再起動や清掃を行っております。その他システムのアップデートがあればこの時に行います。さらにオーダリングシステムで発行しているラベルプリンターの清掃も必要です(数が多いので大変です)。その他、エラーが出た端末のログのチェックや設定変更も行います。平日の業務中には中々できない作業を、土曜日の午後や日曜日に予定して行っております。

3.の必要時に行う臨時メンテナンスは、オーダリングシステムのアップデートや設備点検による停電、その他計画外に行うメンテナンスとなります。

 特にメンテナンス時に気を付けていることは、サーバー再起動後の動作確認です。システムの動作はもちろん、タスクやCRONで動作するバックアップがきっちりされているかの確認も必要となります。よって、日・週・月の三段階で取るようになっているシステムなどは確認作業が抜けがちになるので注意しています。

 組織内には中々伝わらない地味な業務ですが、システムが停止するリスクを低減させるための大事な業務ですので、しっかりとやっていきたいと思います。

救急搬送システム

 私の勤める病院がある2次医療圏では、前回ご紹介した地域連携ネットワークの他に、数か月前より救急搬送システムが稼働しております。このシステムは、県が主体で開始された取り組みで、消防の救急隊と救急輪番病院がタブレット上で救急搬送のための情報を共有するシステムです。

 システムの概要ですが、現場に着いた救急隊員が、各病院に受け入れ要請を入力します。現場から近い病院かつ応需情報に基づき、優先順位が確定され各病院に受け入れ要請情報が配信されます。病院では、タブレットに受け入れ要請のアラートがあがり、そこで受け入れ可能か不可なのかを選択します(不可の場合は理由も入れる必要があります)。救急隊は、要請だけではなく、容態やバイタル等の情報、写真を送ることができ、それを病院側で参照することで受け入れ前に準備ができるようなシステムです。しかし、CPAや交通事故等の一刻を争う場合、救急隊もタブレットへ入力している暇もない場合もあります。その場合は電話でのやりとりになります。病院側では、受け入れ可・不可入力の他、患者の病名や搬送後に帰宅したのか、入院したのか、他院へ紹介になったのか等の情報も入れなければなりません。

 このシステムでやり取りされた情報は、県のデータベースに格納されます。県としては将来的にその救急搬送に関する情報をビッグデータとして活用していきたいとのことですが、入力には手間がかかりますし、病院でも運用費・通信費も負担しなければならないため、現時点では明確な費用対効果は見出せておりません。

 しかし、輪番・救急告示病院としては、このシステムを活用し地域医療へ貢献していかなければなりませんので、我々システム管理部門も間接的にかかわり協力していきたいと思います。

健診システム

 当院では、健診を専門とする部門があり、某メーカーの健診システムを使用しております。しかしそのシステムも老朽化しておりクライアントもXPのため、システムの更新をすることとなりました。

 元々健診は医事課が兼務しており、システムもスタンドアロンの簡易的な構成からスタートしました。そこからピアツーピアになり、サバクラになり現在に至ります。患者IDも独自のものをつかっておりましたが、サバクラにするタイミングで、医事IDと統合しました。(統合作業はメーカーではなくシステム部門が行いましたが非常に苦労した記憶があります)ただし、統合といってもシステム連携は行わず、医事クライアントを健診部門に設置し、ID検索と発行を重複して行う運用をしております。

 同じタイミングで検体検査システムと簡易オーダー連携を組みました。健診側で検査オーダーをすると、ファイルサーバー上へオーダーのテキストファイルが作成され、検査側でそれを取り込む形となります。検査結果が出たらその逆になります。(この連携作業中にはメーカーの不手際があり、我々システム部門に多大な負担がかかったこともありました)この頃、特定健診・特定保健指導が開始され、システムの変更が必要となったため、健診についての勉強を大分行った記憶があります。

 で、今回の更新ですが、一応他メーカーのシステムもデモで見ましたが、やはり現状使っているシステムが一番使いやすいという現場の声と、データ移行が容易である点から同じメーカーで行くこととなりました。今回は、医事システムの患者情報の連携まで行います。

 健診システムで重要となるのは「帳票」です。病院独自の帳票が多くあり、それをメーカーに頼んで作ってもらうと、とてもコストがかかってしまいます。当院で導入している健診システムは、デフォルトで用意されている帳票だけではなく、エクセルを使って病院独自に作成や修正ができるようになっておりますので、なるべく我々システム担当者が対応して作成するようにしております。帳票の基本をエクセルで作成し、セルに表示する内容は名前を定義しデータベースから拾ってくる形となります。結果の判定や基準値などはxmlで指定します。その他マスターの管理は現場でやってくれております。

 世の中健康志向になってきており、それに合わせて当院の健診部門も拡大してきております。その健診業務を円滑に行うためにも、健診システムは必要であり、現場が安心して使えるように導入・管理を行っていきたいと思っております。