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医療情報技師の記録

システム管理者として働く病院職員の記録です。

保守業務

オーダリングシステム 医療情報技師

 我々システム管理部門が行っている保守業務は、大きく分けて3つあります。

1.毎日行う簡易チェック

2.月1回行う定期メンテナンス

3.必要時に行う臨時メンテナンス

です。

1.の毎日行う簡易チェックは、毎朝出勤後に必ず行っております。サーバー室に設置してある各サーバーのインジケーターランプの確認、及びネットワーク監視ソフトの確認、ルータやUPSNASの確認を行います。アンチウィルスソフトのパターンファイルの最新版があれば、院内への配信(オフラインの為、手動でダウンロード→配信サーバーへの配置)を行い、全てチェック表に記入しております。

2.の月1回行う定期メンテナンスは、医事会計・オーダリングシステムを除く、事務用サーバーや各部門システムの再起動や清掃を行っております。その他システムのアップデートがあればこの時に行います。さらにオーダリングシステムで発行しているラベルプリンターの清掃も必要です(数が多いので大変です)。その他、エラーが出た端末のログのチェックや設定変更も行います。平日の業務中には中々できない作業を、土曜日の午後や日曜日に予定して行っております。

3.の必要時に行う臨時メンテナンスは、オーダリングシステムのアップデートや設備点検による停電、その他計画外に行うメンテナンスとなります。

 特にメンテナンス時に気を付けていることは、サーバー再起動後の動作確認です。システムの動作はもちろん、タスクやCRONで動作するバックアップがきっちりされているかの確認も必要となります。よって、日・週・月の三段階で取るようになっているシステムなどは確認作業が抜けがちになるので注意しています。

 組織内には中々伝わらない地味な業務ですが、システムが停止するリスクを低減させるための大事な業務ですので、しっかりとやっていきたいと思います。

救急搬送システム

 私の勤める病院がある2次医療圏では、前回ご紹介した地域連携ネットワークの他に、数か月前より救急搬送システムが稼働しております。このシステムは、県が主体で開始された取り組みで、消防の救急隊と救急輪番病院がタブレット上で救急搬送のための情報を共有するシステムです。

 システムの概要ですが、現場に着いた救急隊員が、各病院に受け入れ要請を入力します。現場から近い病院かつ応需情報に基づき、優先順位が確定され各病院に受け入れ要請情報が配信されます。病院では、タブレットに受け入れ要請のアラートがあがり、そこで受け入れ可能か不可なのかを選択します(不可の場合は理由も入れる必要があります)。救急隊は、要請だけではなく、容態やバイタル等の情報、写真を送ることができ、それを病院側で参照することで受け入れ前に準備ができるようなシステムです。しかし、CPAや交通事故等の一刻を争う場合、救急隊もタブレットへ入力している暇もない場合もあります。その場合は電話でのやりとりになります。病院側では、受け入れ可・不可入力の他、患者の病名や搬送後に帰宅したのか、入院したのか、他院へ紹介になったのか等の情報も入れなければなりません。

 このシステムでやり取りされた情報は、県のデータベースに格納されます。県としては将来的にその救急搬送に関する情報をビッグデータとして活用していきたいとのことですが、入力には手間がかかりますし、病院でも運用費・通信費も負担しなければならないため、現時点では明確な費用対効果は見出せておりません。

 しかし、輪番・救急告示病院としては、このシステムを活用し地域医療へ貢献していかなければなりませんので、我々システム管理部門も間接的にかかわり協力していきたいと思います。

健診システム

 当院では、健診を専門とする部門があり、某メーカーの健診システムを使用しております。しかしそのシステムも老朽化しておりクライアントもXPのため、システムの更新をすることとなりました。

 元々健診は医事課が兼務しており、システムもスタンドアロンの簡易的な構成からスタートしました。そこからピアツーピアになり、サバクラになり現在に至ります。患者IDも独自のものをつかっておりましたが、サバクラにするタイミングで、医事IDと統合しました。(統合作業はメーカーではなくシステム部門が行いましたが非常に苦労した記憶があります)ただし、統合といってもシステム連携は行わず、医事クライアントを健診部門に設置し、ID検索と発行を重複して行う運用をしております。

 同じタイミングで検体検査システムと簡易オーダー連携を組みました。健診側で検査オーダーをすると、ファイルサーバー上へオーダーのテキストファイルが作成され、検査側でそれを取り込む形となります。検査結果が出たらその逆になります。(この連携作業中にはメーカーの不手際があり、我々システム部門に多大な負担がかかったこともありました)この頃、特定健診・特定保健指導が開始され、システムの変更が必要となったため、健診についての勉強を大分行った記憶があります。

 で、今回の更新ですが、一応他メーカーのシステムもデモで見ましたが、やはり現状使っているシステムが一番使いやすいという現場の声と、データ移行が容易である点から同じメーカーで行くこととなりました。今回は、医事システムの患者情報の連携まで行います。

 健診システムで重要となるのは「帳票」です。病院独自の帳票が多くあり、それをメーカーに頼んで作ってもらうと、とてもコストがかかってしまいます。当院で導入している健診システムは、デフォルトで用意されている帳票だけではなく、エクセルを使って病院独自に作成や修正ができるようになっておりますので、なるべく我々システム担当者が対応して作成するようにしております。帳票の基本をエクセルで作成し、セルに表示する内容は名前を定義しデータベースから拾ってくる形となります。結果の判定や基準値などはxmlで指定します。その他マスターの管理は現場でやってくれております。

 世の中健康志向になってきており、それに合わせて当院の健診部門も拡大してきております。その健診業務を円滑に行うためにも、健診システムは必要であり、現場が安心して使えるように導入・管理を行っていきたいと思っております。

地域医療ネットワーク

 私の勤める病院がある2次医療圏では、地域医療ネットワークが存在します。(正確には2次医療圏だけではなく、県内のもっと広い範囲になりますが、、、)そこでは、同意を取った患者様の医療情報(情報提供病院の処方、検査、画像情報)を、地域のクリニックや調剤薬局老健施設で閲覧できるネットワークとなります。情報を提供する病院は、電子カルテ・オーダリングシステム、及びPACSを導入している地域の中核病院になります。

 当院でもオーダリングシステムの導入に合わせ、参加を表明しており、近々開始される予定となっております。前述の通り、参加にはオーダリングシステム・PACSが必要となり、その情報をID-LINK又はHUMAN BRIDGEへ送るためのSS-MIXサーバーも必要となります。当院ではID-LINKを選択しており、サーバー室にはSS-MIXサーバーとID-LINKサーバーも設置済みです。ちなみにSS-MIXとは、異なるベンダーのシステムの情報を共有するために厚労省が策定した規約のことで、ID-LINKはNEC、HUMAN BRIDGEは富士通の医療ネットワークです。

 SS-MIXで問題となるのは、各病院が独自で設定している処方の「用法」のコード付けになります。決まったコードの付け方があるのですが、それが複雑であり、担当している薬剤師は大分苦労しているようです。

 実際に地域医療ネットワークが開始されれば、通常その業務は地域医療連携室が担当するようになりますが、しばらくは我々システム管理者や企画課も関わることになりそうです。

 当法人では、クリニックや老健も運営しておりますので、このネットワークをうまく利用できれば、さらなる患者サービスに寄与できると思っております。ただし、あくまでも「同意を取った患者様かつ指定した医療機関」のみの情報共有となりますので、参加する患者様が増えるまでは時間がかかりそうです。隣のM県でも大分苦労しているようですね。

補助金・助成金について

 この仕事をしていると、補助金助成金を使ってシステムを導入する機会が結構あります。システム導入に関する内容であれば、申請等は我が部署で担当するのですが、意外と問題になるのは、ハードウェアの価格です。

 基本的な流れとして、
 1.システム見積もり要請
 2.助成金補助金申請
 3.申請許可
 4.システム購入
 5.納品書、請求書の送付
 6.助成金補助金入金
のような感じになりますが、1~3までにかなり時間がかかる場合があります。その場合、購入時に、1の見積もりに掲載されたハードウェア(特にパソコン本体)と同じものが手に入らない状況になります。そこで別なハードウェアに変更しなければならなくなるため、当然金額も変わってしまいます。しかし、申請した金額とはイコールでなければならないので、この辺はメーカーや販社と相談のうえ、ハードウェアに多少余裕をもって見積もりを作ってもらい、実際の購入時に金額が変わらないようにしてもらう必要があります。

 このあたりの処理をお願いしたり、さらなる補助金の情報を頂けたりしますので、やはりメーカーや販社、問屋等とは常に良い関係を作っておきたいと思います。

医療情報技師について

 職場のスタッフが、今年の医療情報技師能力検定試験に合格し、医療情報技師として認定されました。現在私が部署長を務めるシステム管理部門は、私とそのスタッフの2名で運用しております。これで医療情報技師が2名体制の部門となりました。

 私の勤める医療法人では、システム関係の資格には資格手当はありません。(基本情報技術者のような国家資格でも手当はありません)私が医療情報技師の資格を取りたかった理由はいくつかありますが、まずは「知識の向上」です。「情報処理」については基本情報技術者試験やシスアドを受けるときに勉強しておりましたので、やはり「医療情報」と「医学医療」の知識を向上させたいとの理由からでした。(ただし基本情報処理やシスアドを勉強したのは20年も前の話なので「情報処理」についても勉強はしました)「医学医療」については、病院に勤務していても中々看護や臨床に関わることは少なかったので、非常に苦労しました。

 もう一つの理由として、有資格者となることで、自分の行っている業務への自信と責任感を上げたいと思ったのが大きな理由です。資格取得後は、医療情報技師としての自覚が生まれ、それが次第に深まっていき、現在は強いプロ意識を持って仕事を行えております。

 今後も、スタッフ共々医療システムの専門職である「医療情報技師」として、現場が医療システムを安心して使えるよう、日々努力していきたいと思います。

【追記】

 病院機能評価の認定要件に、HIS導入病院には「医療情報技師の配置が望ましい」とも明記されており、病院にとっても必要な人員として認知されてきております。

計画停電におけるシステム停止(初)

オーダリングシステム 医療情報技師

 16日(日)に、設備点検による停電のため、院内全体のシステムの停止作業を行いました。オーダリングシステムを導入後、初めてのシステム停止の為、非常に神経を使いました。
 当院では、システム全体をカバーできるような自家発電機が無い為、システム停止時は紙運用となります。しかし、部門システムも全て停止する為、診療は限定した内容のみとなります。
 停電時間は最長で2時間の予定。
 まず、一番大事なのは「院内への周知・徹底」です。停電が計画された時点で通達することは勿論、連絡会や朝礼等でしつこい位に停電の周知を行いました。オーダリングシステムのポータルにある掲示板へも掲載しました。
 次に、各システムメーカーへの連絡です。さすがに日曜日ということで、立ち合いはありませんが、サポートへの連絡体制や、停止~起動のマニュアルや注意点を確認しておきます。電話関係の対応も必要となります。当院ではひかり電話を導入しておりますので、ONUとOGが止まらないよう、UPSのバッテリーを新品に交換しておきました。
 次に、システム停止時も患者ID検索や入院患者検索ができるよう、最新の状態のcsvデータを抽出しておき、バッテリーを満タンにしたノートパソコンへ保存しておきます。
 停電時のシステム対応は3名で行いました(各部門へも協力を要請してあります)各役割を決め計画表を作成、計画表通りに進めていきます。
 いよいよ開始です。停電予定時間の30分前から、館内放送を行い順番にシステムを停止していきます。停止作業に入る前に、再度部署を回りシャットダウンされているか確認します。基本的に、止めても良いと思われるサーバーからシャットダウンしていきます。オーダリングシステム関係は最後です。サーバーがシャットダウンされたら最後に各UPSを止めて完了です。

 停電中は基本的に何もできませんので、ラベルプリンター等の清掃やひかり電話UPSの残量の確認等を行いながら通電を待ちます。

 いよいよ通電です。まずはネットワーク機器から起動を確認します。サーバー室のL3及び基幹の各L2が起動していることを確認。

 次に、オーダリング関係のUPSの電源を入れる・・・あれ???10台あるサーバーの電源が同時に入ってしまいました。起動もUPSと連動してたのか!メーカーが言っていた話とちがう・・・結局、サーバーが全部起動したあと、再度シャットダウンを行ったため、大分時間がかかってしまいました。シャットダウン確認後、オーダリングシステムと医事会計システムのサーバーををメーカーが指定した順番に起動していきます。起動が終わったら各部門システムのサーバー、事務用のサーバーを起動します。

 システムが起動したら動作確認です。新患登録から受付、オーダーから部門連係、ラベルや処方箋等の出物が問題なく出るかを確認します。

 オーダリングシステム関係は問題なかったのですが、検体検査システムで問題発生。検体検査の管理PCとモダリティを接続する機器の電源が入らず、検査が手動でしかできない状態に。このままでは、翌日の診療に多大な影響が・・・検査メーカーに連絡しても休日の為か全然連絡が来ず、時間ばかりが経過。しかし、その接続する特殊な機器が、検査室内に2台あることがわかり、もう一台の機器のACアダプターを使ってみたら起動することが判明。そこで、同じアンペアとボルトのACアダプターを院内中探し回り、アンペアは多少小さいですが、同じボルトのACアダプターを発見。それを流用し事なきを得ました。

 作業中に地震速報の警告音が鳴ったりして、オーダリング稼働時と同じくらい胃が痛くなる対応となりました。

 設備点検による停電は、今後も定期的に発生しますので、今回の作業をマニュアル化し、極力問題が発生しないようにしていきたいと思います。