医療情報技師の記録

システム管理者として働く病院職員の記録です。

システム担当者懇親会

 昨日、同じ地域医療圏の病院のシステム担当者が集まり、懇親会を開催しました。ある病院のシステム担当者様が幹事を引き受けてくれまして、初めての開催となりました。当院からは、システム担当2名、企画1名、診療情報1名の計4名が参加しました。しかし、当院で開始直前に予想外の業務トラブルが・・・結局遅刻してしまいました。

 会は終始和やかで、普段は常に緊張感のある業務を行っている我々にとって、非常に心地よい時間を過ごせました。同じ職種の方々ですので、自分の病院内では分かってもらえない苦労話を共感して貰えますし、有用なアドバイスもいただけることもでき、もっと早くからやれば良かったと思いました。

 見方を変えればライバルになる病院同士ではありますが、今回のような横のつながりは非常に大事であると感じました。

 今後もこのような良いつながりを、大事にしていきたいと思います。

事務用サーバー構築

 当院では、事務用のサーバーを独自に構築しております。理由は簡単、「コスト削減」のためです。サーバー本体とバックアップ用のNAS以外は基本無料で構築しました。OS代はもちろん、CALもケチるためにLinuxにしました。OSレスのサーバーを購入し、CentOSをインストール、ファイルサーバーはSAMBA、データベースはPostgreSQLグループウェアは無料のgroup session(これオススメです)を構築。Raid5にすると高いので、ミラーリングにし、ファイルバックアップを差分で1ヶ月分NASにとる形をとりました。メールサーバーも立てましたが、グループウェアが優秀なので現在は使ってません。

 ファイルサーバーは個人的には、アクティブディレクトリよりもSAMBAの方が管理しやすいと思っております。各部門毎に共有フォルダを作成し、アクセス権限を設定しています。複数のユーザーが共有で使用している端末には、ネットワーク切断用のbatを用意し、使用後に実行してもらっています。

 簡単なデータベースシステムは、ACCESSVBで作成し、ランタイムで稼働させています。

 もしLinuxに興味がある方は、WindowsXP機で余っている端末か、Hyper-vに試しインストールしてみると良いと思います。ディストリビューションはたくさんありますが、色々試した結果、当院ではCentOSを採用しました。Vine Linuxあたりもオススメです。

システムアップデート

 オーダリングシステムを導入してから、はじめてのシステムアップデート作業を行いました。10月の診療報酬改定に合わせたアップデートです。日勤の外来診察終了後に予定し、実行しました。

 オーダリングシステムについては、2つあるwebサーバーを一台づつアップデートしますが、どちらかのサーバーへアクセスすればシステムは使用できるので、システムを止めることなくアップデート可能となっております。webサーバー1をアップデートすると、webサーバー1にアクセスしているユーザーには「作業を保存しwebサーバー2へ移動してください」との警告が上がります。webサーバー2の場合も同じです。一部病棟で作業中にサーバーが移動してしまい、データが不具合を起こしましたが、それ以外は問題なく終了しました。

 ただし、医事会計はシステムを止める必要があり、外来終了後も救急外来は受付しているため、事前準備が必要となります。まずは、患者検索用にシステムから患者データを抽出しておきます。続いて、新患用に数名分のIDを発行しておきます。今回は作業中に来院された方はおらず、こちらも問題なく終了できました。

 システムアップデートには「事前準備」「現場への周知」「作業中のフォロー体制」が重要であると再認識しました。

 

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【追記】

 上記ではほぼ問題なかったと書きましたが、後日ある問題が発生。クライアント数台にエラーが頻発!!エラーが出ている端末の条件が、全部病院側で準備した端末であり、Window7とIE11の組み合わせであることが判明。(メーカーが準備したのはWindows7とIE8)対応としては、エラーが出ている端末のIEのキャッシュをクリアすることで解消しました。次回のアップデート時にも同じ事象が発生する可能性があるので、今後の対応も決めていかなければなりません。

DTPソフトとWEB作成

 当院では、ホームページやパンフレット、ポスター、広報紙等の作成は基本的に外注はせず、システム担当者が行っています。そこで必要となるのがフォトショップイラストレーターなどのDTPソフトとWEB作成のスキルです。

 DTPソフトってすごく高いですよね。業務用でadobe creative suiteを2ライセンス買ってもらいましたが、とても個人では買えない金額です。ただ、効果的な広報ツールを作成するには必須だと思います。操作については、レイヤーやパスの概念が分かってくるとぐんぐん上達すると思います。

 WEB作成については、html、CSScgiFLASHの知識は持っていましたが、今はhtml5の時代。FLASHオワコンです。常に新しい技術を勉強していかなければついていけなくなってきました。私は大枠をDreamWeaverで作成してから、htmlのソースコードを調整していくやり方をとっています。

 しかし最終的に大事なのは「デザイン力」だと思います。デザインはセンスなので中々難しいですが、良いと思ったチラシは必要なくてももらってきますし、多くのサイトを見て参考にさせてもらってます。良いものを見て、眼を肥やすのがデザイン力を上げる近道だと思います。

ネットワークについて

 病院でもネットワークの構築は必要不可欠となってきております。そこで、病院のシステム担当者はネットワークの知識も必要となります。ネットワークSEレベルの知識やL3スイッチの設定までできる必要があるかは病院によると思いますが、最低でも基本的なTCP/IPの知識は必要となるでしょう。自宅のネットワークでは、DHCPになっていることが多く、IPアドレス等の設定はあまり気にしなくてもよかったと思いますが、企業では固定IPが多いため、システム担当者がTCP/IPの設定をしなければならない場面が必ず来ます。

 これから医療情報技師を目指す方は、IPアドレスサブネットマスクの関係性やデフォルトゲートウェイ等を理解することから始め、ワークグループやドメインDNS、WINS、MACアドレス無線LAN関係も押さえておきましょう。ping等のネットワーク関係のコマンドも覚えておくと便利です。

 

医療情報技師の業務~見積りの精査

 医療情報技師の業務の一つとして、システム導入時の見積もりの精査が挙げられると思います。病院によっては購買部門が行う場合もあると思いますが、できればシステム担当者が関わるべきだと思います。以前、私が知らない内に部門システムが導入されてしまったことがあるのですが、後々システム担当の目で確認すると非常に無駄でもったいない構成であったことがありました。メーカーを信用しないわけではありませんが、病院の規模や業務内容に合った構成を低コストで導入するのがベストです。その為には、我々システム担当者が提案段階から介入し、見積りを精査することが望ましいと考えます。

 オーバースペックになっていないか、必要のないオプションがついていないか、導入作業費の中でシステム管理部門で行える作業がないか、保守内容におけるランニングコストが妥当か、等を確認します。必要であれば値引き交渉もしますが、まずは無駄なコストを削減することを目的として行います。ただ、あまりにも神経質になりすぎて、必要なものまで削らないように注意しましょう。

稼働1ヵ月~現在(5ヵ月後)

 オーダリングシステムが稼働し、1ヵ月は我慢の月でした。まずは通常業務を回すことを優先し、止まってしまった場合は「今まで通り、紙でお願いします」との対応をするしかありませんでした。

 1ヵ月が経ち、メーカーの常駐がなくなりました。この時点で、初期対応は全てシステム管理者が行わなければなりません。現在まで、大きなハードウェア的トラブルがないのが幸いでした。ただ、想定外だったのがオーダーシールを発行するラベルプリンターです。カッターにシールの糊が付着し、切れ味が悪くなることが判明。対応として、月一回定期的に現場を回って清掃することとしました。

 日を増すことにより、スタッフが操作に慣れてきます。すると、「操作の問い合わせ」が「要望」に変わってきます。マスターやセットの追加、帳票の追加・修正、パラメータの変更で対応できるような要望なら問題ないのですが、一番困るのが「運用でしか解決しない要望」です。特に、部署間で話し合って決める必要がある運用を、システム管理者に決めてほしい、間に入ってほしい等の要望がバンバン入ってきます。「部署間で決めてほしい」と言うと必ず「システム的に解決できないか?」との返答になります。オーダリングシステムを導入したことで、部署間のコミュニケーション不足が露呈しました。これを解決するのはなかなか難しく、とりあえずこのような問題が出た場合は、システム運用委員会にて議題にし、そこで解決していく形をとりました。システム運用委員会はメーカー担当者同席の上、月一回定例で開催しております。

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 長くなりましたが、以上が当院でのオーダリングシステムの導入内容です。大変だとは覚悟しておりましたが、ここまでとは思っていませんでした。しかし、色々と勉強させていただき、経験値も上がった気がします。

 今後は、オーダリングシステムだけではなく、病院システム管理者としての業務をブログに書いていきたいと思います。

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 最後にこの場を借りまして、導入に関わっていただいた全てのメーカーさん、病院のスタッフに御礼を申し上げます。その中でも特に、システム管理部門スタッフに感謝しております。今は別部署の課長となりましたが、部署長の足りないところをフォローしてくれた元主任、弱音を吐くこともなく最後まで激務をこなしてくれた入職3年目のスタッフ、この二人がいなければ今回の導入は成功しなかったと思っておりますので、本当に心から感謝しております。ありがとうございました。