医療情報技師の記録

システム管理者として働く病院職員の記録です。

病院見学(1回目)

 情報収集をしていく中で、特に有効なものとして「病院見学」が挙げられます。メーカーの話だけではなく、実際の現場で働く皆様の「実の声」を聞ける非常に良い機会となります。
 当院では、オーダリングシステムが稼働するまでに計3回、3つの病院様にご協力いただき、見学をさせていただきました。
 1回目の見学は、当院とほぼ同じ病床数で、前述のB社オーダリングシステムを導入しているU病院です。以前、事務部長様とお会いしたことがあり、その伝手でお願い致しました。見学先をメーカーに紹介してもらう手もありますが、メーカーが同席してしまうと「悪い話」が聞けない場合もあるので、当院では直接お願いする形を取りました。
その時に行った準備としては、
1.先方の院長様宛に、こちらの院長名で正式な依頼書を送付する。
2.日時は、基本的に先方に合わせる。
3.参加者のリスト(職種も入れる)を送付する。
4.事前に分かる質問があれば一覧にして送付する。
5.手土産を準備する。
等です。
 見学当日は、時間的にも全部の部署を見て回るのは難しいため、職種ごとに分かれる形でお願いしました。私はその病院のシステム担当部署を見学させていただき、HISが導入された病院でのシステム担当者の業務とはどういうものなのか、何をしなければならないのか、を重点的に確認しました。参加したスタッフは、導入後の業務改善が期待できる喜びと、導入作業の大変さを実感したようで、帰りの車の中では複雑な表情をしておりました。
 1回目の見学は、まだ準備1ヶ月の早い段階で行いましたが、今後時間をおいて2回目、3回目の見学を行っていくこととなります。

導入委員会発足

 職員が納得した形で進めるには、各部門の代表者が集まった決定機関が必要となります。そこで、オーダリングシステム導入委員会を発足しました。

 メンバーは、各部門からは勿論、高額な費用の決済が必要になることもありますので、経営のトップも入っております。

 基本的に月一回のペースで集まり、方針や提案等を確認しながら進めて行きました。どうしても行き詰まるような案件は、委員会で議題にすることで決まることもありました。

メーカー選定

 メーカー選定といっても、ここで1社に決めるわけではありません。かといって多くのメーカー全てから話を聞くわけにはいきませんので、まず第一段階として候補となる数社を選びます。このうち、2社は簡単に決まりました。

 1社目は、すでに導入している医事会計システムのメーカーA社です。営業さんもSEさんも顔見知りであり、データ連携も問題なしです。2社目は、全国でもシェアがトップであり、我が地域でも多くの病院が導入しているB社です。後は、長く営業に来ている数社を選びましたが、どこから聞いたのか、次から次へと今まで来たこともなかったメーカーが営業に来るようになり、さらにオーダー・電カルだけではなく、部門システムの営業も。それに対応するだけでも大変な業務となってしまいましたが、その中に当院に最適なシステムがあるかもしれませんので、無下に断ることはしませんでした。

 結局この時点では、5社が候補となりました。今後はこの5社から、職員が納得する形で選定していくことになります。

重点目標

 平成25年度の重点目標として、オーダリングシステムの導入が掲げられました。数年前にも掲げた目標でしたが、東日本大震災により止まってしまっておりました。

 この時点では、「オーダリングシステム」だけなのか、一気に「電子カルテ」までやるのかは判断できておりませんでしたが、オーダリングシステムの導入までは確定事項となりました。

 まず最初に行ったのは、院内へ向けての説明会の開催でした。オーダリングシステムとは何か?電子カルテとの違いは?メリット、デメリットは?等。まだ稼働日も決まっておりませんし、導入に向けてのモチベーションを上げるにはまだまだ早いと思い、勉強会というよりも、職員の意識付けのために行いました。

 中には、パソコンが不得手な職員、全くできない職員もおり、かなりの不安があったと考えられます。そのような職員のための対応も今後やっていくことになります。私どもシステム担当の3名は、不安もありましたが、今までにない大きなプロジェクトに関わることができる期待の方が大きかったと思います・・・この時点では。

前書き

 私の勤めている病院では、本年(平成26年)5月より、オーダリングシステムが導入されました。稼働して4ヵ月、現場も私たちもだいぶ落ち着いてきました。そこで、準備期間から現在に至るまでの内容や苦労話等を書かせていただきます。今後システムを導入される病院のシステム担当となる方へ、少しでも参考になれば幸いです。

  その前に、簡単なご紹介をさせていただきます。私の勤めている病院は、「地域と密着した医療活動」を理念としたある地方病院です。病床は199床で、看護基準は13:1(平成25年4月時点。現在は10:1。)。病院以外にも介護系の施設等を複数運営する医療法人でもあります。

 私の所属するシステム管理部門は、法人に所属しているため、病院だけではなく、関連施設全てのシステムの管理を行っています。システム管理というと聞こえは良いですが、業務の大半は「何でも屋」として行っております。メンバーは、私を含め3名のスタッフ(一応私が部署長をさせていただいております)で切り盛りしております。当院規模の病院でシステム担当者が3名というのは恵まれていると思いますが、オーダリング稼働後に部署移動があり、現在は2名となっております。

  それでは次回から、実際にオーダリングシステムの導入について書いて行こうと思います。